Parallel World A.A.

わたりどり

東京へ行ったときに、少し時間があったので、「わたりどり」という映画を見ました。
いろんな渡り鳥が飛んでいるところをひたすら追いかけているドキュメンタリーです。ストーリーはありません。起承転結も序破急もクライマックスもありません。ただ、本物の美しい「映像が流れていくだけの映画です。

退屈しなかったかと聞かれれば、しなかったと答えることができるけど、感動したかと聞かれれば、少し答えるのに時間がかかります。

美しさに感心した。というのが、正直なところかもしれません。全ての映像が完璧に美しく構成されていて、よくこんな映像を撮影できたものだと感心しました。特に、飛んでいる鳥を広角のレンズで撮影した映像は、生まれて初めて見ました。かなり鳥の近くで撮影しているので、まるで自分が鳥になったような感覚を味わうことができました。

ただ、あまりにも美しく、おもしろい映像が続くので、少しできすぎているような印象を持ったことも事実です。最低限の音と抑制のきいた編集でうまくまとめているだけに、少しでも編集者の意図が見えると、それが際だってしまいます。具体的にいえば、鳥たちのめずらしいダンスのシーンや、あるいは、重油にまみれる鳥のシーンは、なくてもよかったかもしれません。

別の言い方でいえば、説明的な具象画ではなくて、もっと抽象画をめざしてもよかったのではないかなと思います。

ただ、こういう映像中心の映画は、不思議といつまでも憶えていることが多いものです。その証拠に、今でもいくつかの印象的な映像を脳の中に再現することができます。いつまでも憶えているというのは、いい映画だという証拠なのでしょうね。

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