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旧街道#2

2回目の今回は三重県の関宿から坂下宿、鈴鹿峠を越えて滋賀県の土山宿の向こうまで歩きました。ほぼ20キロくらいかな。

関町では、昔の旧街道に沿って、洗練された家並みが続きます。こういう町並みがあちらこちらに残っていればいいのにと、本当に思います。

30年くらいかかってもいいから、昔の家や町並みをできるだけ面的に広い範囲で復元できないかな。今からすぐに始めて30年続ければ、できそうな気がします。

そう言いながら、最近建てた自分の家は、徹底して日本的なものを排除しているのだけどね。

関の町並みをはずれると、国道沿いにしばらく歩いて、途中から旧道へ入ると坂下宿。昔の国道1号なのだけど、全く車が通らなくて、2車線の広い道の真ん中で車を洗っていたりして、のどかな町並みでした。

たぶんこれから日本全体の人口が減っていくと、こんな風景があちらこちらにできるのだろうなと、ふと未来をのぞき見たような感覚に陥りました。

ここからいよいよ鈴鹿峠を越えます。

国道から脇へそれると、いきなり山道で、ちょっとした登山道でした。山賊で有名なだけのことはあります。

登りが続いて少し汗ばんだ頃に、やっと峠があらわれました。といっても近江平野と琵琶湖が見えたわけではなくて、林の間から一面の茶畑があらわれたのです。いきなり別の世界に足を踏み入れたようで、なかなか幻想的な瞬間でした。

国道1号を下って、工事中の第2名神の巨大な高架橋をくぐり、茶畑の中の旧道を進んで再び国道に合流すると、道の駅「あいの土山」です。

休憩を兼ねて中へ入ると、たくさんの人の間から、いきなり車掌の格好をした駅長という人があらわれて、僕たちに旧街道を歩く人のための地図をくれたり、お茶のサービスを案内してくれたりで、なんだかとまどいました。施設の中も温泉旅館みたいで、壁には全くデザインされていない手書きの案内がびっしりと貼ってあったりしていて、たぶんこの駅長さんは、無自覚的に、何の疑問も持たずに、あるひとつの価値観を追求しているのだろうなと勝手に想像しました。

この駅長さんにバスの時間を聞いて(もちろん、とても親切に教えてくれました)、日が暮れるまで歩くことにしました。道の駅の裏から始まる土山宿の町並みは、関宿に比べると規模が小さいのだけど、ずいぶんと整備されている感じがしました。

ただ、僕たちは、歩きながら、さっきの駅長の話でシニカルに盛り上がっていたので、あまりじっくりと町並みを味わったとは言えないかもしれません。旧街道を一歩離れると一面に畑が広がっていたりして、結構いなかの町です。

残念ながら日が暮れたので、旧街道が国道1号にぶつかったところで、今回は終わりにしました。バスで貴生川(きぶかわ)駅まで行って、そこからJRで大阪まで帰ってきました。

今回は、国道1号沿いとはいっても、大都市から離れているので、ずいぶんと田舎の風景を楽しむことができました。

のどかで平和な秋の日差しを味わいながら、田舎の道を歩くのは、気持ちのいいものです。

昔と違って今は、山賊もいないし、関所もないので、とても楽に歩くことができました。

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