Parallel World A.A.

1970年代

1970年代初頭の生活に戻ることはできるでしょうか。

今よりもエネルギーの消費や二酸化炭素の排出が圧倒的に少なかった頃の生活です。

みんなが1970年代初頭の生活水準に戻ることができれば、環境に関するいくつかの問題は、簡単に解決できるかもしれません。

1970年代、僕の家には、スバル360か、スバル1000という車があって、父親は、その車に母親を乗せて、二人で通勤していました。でも1台しかなかったので、どこかへ出かけるときは、よくバスを利用していました。便数が多くて、いつも満員でした。満員で乗れなくて、車掌さんに次のバスにしてくださいと言われたことがあるくらいです。そして、今と比べて出かけること自体が、とても少なかったように思います。

1970年代、僕の家には、台所にだけ水冷式のクーラーがありました。その当時は、ちょっと掘ればすぐに地下水が取れたので、簡単なポンプで水を吸い上げて、原始的な仕組みのクーラーに使っていました。夏休みには、家族みんなが、そのクーラーのある部屋に集まって、冷やしそうめんや、畑で採れたスイカを食べていました。

1970年代、夏は確かに暑かったけど、今みたいに7月から9月までずっと暑くはなかったように思います。そのかわり冬は今よりうんと寒かったですね。よく「しもやけ」に悩まされました。昔の家は木造で、建具も隙間だらけだったし、もちろん断熱材もなかったから、寒いのは当然かもしれません。そして、暖房はもちろん石油ストーブです。

1970年代、僕が食べていたものは、今思えば、ずいぶんと健康的で、素材本来の味がするものばかりでした。前の畑で採れた野菜と果物、自家製の味噌、近所の牛から搾りたての牛乳、起きがけに、にんじんジュース。祖母は、おはぎ、おだんご、おようかんと、季節がめぐるのにあわせて何でも作っていました。おようかんは、石臼を手でまわして作っていました。

こうやって思い浮かべてみると、僕が1970年代の具体的で現実的な生活に戻ることは、絶対に不可能というわけではないような気がします。

もっとも、昔の生活を思い出そうとすると、平和で、穏やかな風景ばかりが浮かんでくるのかもしれませんね。

HOME BACK NEXT