Parallel World A.A.

人権

いきなり難しいことを言いますが、人権という概念は、人類が生み出した最先端の概念だと僕は思います。長いながい年月をかけて、おびただしい数の犠牲者と試行錯誤、膨大なエネルギーを費やして、やっとたどり着いた概念です。

僕は、この言葉が好きです。どうしてかというと、この概念によって、自分が守られているように感じるからです。

子どもの頃に、具体的には小学校だけど、自分の家を除く全ての世界が、怖くて仕方がありませんでした。最も怖かったのは学校と友達です。毎年、夏休みが終わって2学期が始まる日の朝、いつも、このままどこか遠くへ行こうと考えました。家の中が天国だったので、相対的に外の世界は地獄に見えたのでしょう。

大きくなるにつれて、これは自分の問題ではなくて、社会の問題だと思うようになりました。そんなときに、自分には安全で安心してプライドを持って生きる権利があるという考え方は、とても新鮮でした。

要するに、僕が恐怖を感じるのは、どうも社会の方が間違っているのではないだろうかと考え始めたのです。それまでは、こんなにも学校や友達が怖いのは、自分が弱いからだと思っていました。

一方で、自分が強くなると、自分でなくなるような気がしていて、どうにも困っていたのです。僕は「精神力」とか「鍛錬」とか「浪花節」というような言葉で代表されるような世界に住む人間ではないのです。

だから僕は、人権という概念を知ることによって、自分の人生が一歩前へ進んだような感覚を持つことができたのです。

自分の人生が前へ進んだ、という感覚は、いいですね。

HOME BACK NEXT