Parallel World A.A.

ククオです。

僕は元気だよ。

元気すぎて、お父さんやお母さんを困らせている。なぜかというと、走り回って遊んでいるときに、お父さんやお母さんの大事にしているものを壊してしまうからなんだ。悪気はないんだけど。

ちょっと前にはワインの入っていたグラスを倒して、真っ白のロールカーテンを台無しにしたし、この前は陶器の置物を割ってしまったんだ。そんな時は一応、自慢の俊足で逃げるんだけど、お父さんやお母さんは頭に角をはやして、鬼になって追っかけてくるんだ。ビュンッ!と音をたててスリッパが飛んできたりもする。

つい最近も、お父さんがとても大事にしていたもの(中身は秘密だって)を壊してしまって、この時ばかりは、さすがに僕も家を追い出されるかと思ったよ。一応、自分の荷物をまとめて準備してたんだけど、お父さんはすぐに許してくれた。だいたい、しばらくおとなしくしてたら許してくれるんだよ。二人とも結構忘れっぽいんだ。

さて、今日は、僕がふだん何をしているか教えてあげるね。

朝はお父さんやお母さんよりだいぶ早く起きる。前にも言ったけど、朝早く野性モードにスイッチが切り替わって、走り回ることがあって、お父さんを怒らせてしまう。でも目覚まし時計の代わりになっているみたい。

昼間はだいたい部屋の中で寝ているか、それとも窓辺で外を見ながら「哲学」をしてるんだよ。僕は「哲学」をするのが大好きなんだ。庭を見ながら、僕はどこから来て、何者で、どこへ行こうとしているのか、考えて過ごすんだ。ゴーギャンみたいにね。それから「今日の夕ご飯には煮干しが付くかな」とか「パンはあるかな」なんてことも考えるよ。僕にとってはどっちも哲学なんだ。どっちも同じくらい大事だし、どっちも考える必要があるし、どっちも結局は同じことなんだ。哲学的だろう。

夜は僕の一番好きな時間。お父さんとお母さんが帰ってくるからね。帰ってきたときに玄関のドアが開いた瞬間に、隙間を抜け出して「冒険」に行くこともある。僕は、この冒険が、哲学と同じくらい大好きなんだ。お父さんは、外は危険だし汚れるから止めなさいって言うけど、お母さんは、行かせてあげたらって言ってる。危険なことは確かだけど、好きなんだから仕方がないよね。

じゃあまたね。

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