Parallel World A.A.

セミナー

自己啓発セミナーというのに、10年くらい前に行ったことがあります。結構熱中していろんなコースに次から次へと参加しました。セミナーを受けて生き方が劇的に変わったというわけではないのですが、何かわからないけど、僕の心と体に影響を与えたのではないかなと思っています。

いくつかの貴重な体験もすることができました。その会社のセミナーは、いわゆる自己啓発セミナーと呼ばれている(今でもあるのかな?)部分と、瞑想を中心にして心と体を一緒に扱うようなコースに分かれていて、僕はどちらかといえば後者の方が好きでした。

例えば、かつてアメリカのニューエイジの人たちが、麻薬のLSDによって心を解放するのが、ちょっと危険なので(当たり前ですが)、それと似たようなことを他の方法でできないかなと考えて編み出したという呼吸法も体験しました。

あるいは、仮面をかぶって自由にふるまうことで、心と体を解放するセッションとか、マッサージで体をほぐす方法など、なんだか自分を実験台にして遊んでいるような、そういうおもしろさに浸っていました。

いろんな経験を1年くらいの間に集中的にして、まるで嵐が過ぎ去ったみたいに、関心をなくしてしまいました。というか、関心は今でもあるのですが、とりあえず、もういいかなという感じになったのです。経験というのは、たとえ刺激がどんなに大きくても同じことを続けていると飽きるのです。

ただ、あの時に経験したことは、体の細胞がしっかりと憶えているみたいな感じが、今でもします。あれからセミナーについて、いろんな本を読んだり、いろんな人と話をしたりして、僕なりに「あれはいったい何だったのか」という検証は済ませたつもりなのですが、この体の感覚というか、考えることや感じることと体との関係は、とてもおもしろいので、もっと突き詰めてみたいと思っています。

余談ですが、このとき僕と一緒にセミナーを受けた女の子は、10年経って自分のお父さんをミイラにしてしまいました。10年前、僕と彼女との生き方の差は、ほんのわずかでしたが、最初にできた、わずかなベクトルの角度の差が、10年という歳月によって、どんどん拡大して、僕はこうして、波瀾万丈ではなく、どちらかといえば落ち着いた人生を選択している一方で、彼女はとても劇的な人生を選んだということなのでしょう。

HOME BACK NEXT