Parallel World A.A.

大きいことはわるいこと

大きいことが、人間の生活に、あまりよくない結果をもたらすということが、たくさんあるように思います。

例えば巨大な量販店。

かさかさした風景に暴力的な音の洪水。必要以上に明るくて青白い照明。ピカピカした床や壁。そこは圧倒的な量の商品で満たされた疑似天国です。ある種の近未来的な刺激はあっても、人間同士の会話もなければ、買い物の楽しみもありません。小さなお店に行けば、買い物は人間的な営みを取り戻し、値段の高い安いということ以外の情報がたくさん手に入ります。

例えば巨大な都市。

欲望を追求すればするほど、人は大きな都市に集まります。東京やソウル、香港、バンコクのようなアジアの大都市は、弛緩して無制限に大きくなっているので、自然とのつながりを絶たれ、一人あたりのスペースが極限まで小さくなっています。ソウルも香港もバンコクも昔行ったことがあるけれど、1週間以上いようとは思いませんでした。ヨーロッパの小さな都市にある居心地の良さを体験すれば、大きいことが人間にわるいことだということが、よくわかります。

例えば巨大な建物。

建物は、まるで人間の欲望を象徴するかのように、どんどん大きくなります。高層ビルは人間を威圧し、青空をふさいで雲を隠し、風をさえぎります。あまりよくデザインされていない高層マンションや、奇抜で巨大な建物は視覚公害以外のなにものでもありません。

大きさに一定の枠を設けることが必要なのではないかな。そうすることが、人間的な生活をするために必要なのではないかな。

大きなものが小さなものを吸収して、ますます大きくなるのではなくて、小さなものが、小さいままで、たくさんあった方がいいのではないかな。

人間は小さいのだからね。

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