【月立つ…】     
      





細い月が赭い。




宴の後、だった。
どんちゃん騒ぎは峠を越し、潰れるヤツは早々に潰れ
風は微風。
なま暖かくさえあるそれは、
もうじき訪れるであろう春の気配に充ち満ちていた。





だから…
シャンクスがこう言い出した時にも唐突だと思った者はいなかった。
「今頃、フーシャ村は春の準備をしてる頃だよなぁ」

「‐‐のじいさん、リウマチがひどくなってなきゃいいけどな」
「こき使われたよなぁ。
ルフィのやつがせっかく種蒔いた畑に落っこちてぱぁにしたからって俺たちまでよぉ」


    
それは、大人げないどこかのお頭が本気で追いかけたせいなのだが。
そして、幹部達はとばっちりを食らったわけなのだが。
「手伝うルフィはいないんだもんな」

頷く。
あの村での日々は誰にとっても大切な思い出になっているのだ。



「ルフィ、どっかで、この月を見てるかな」
「いや、あいつのこったから、きっと寝ーたれてるな」

赤髪の“片腕”たる副船長は、それを複雑な思いで聞く。


死んだ者も生きている者も――
出会った者達は全てあんたの胸の中に行く。
懐深いこの海賊頭の心の中に。
彼らの名前は忘れられても、出会ったことは覚えている。

まるで海の奥津城のように。
彼はいくつの生命をその裡に迎えたのだろう。

その中でも、けれど、あの少年は特別なのだ。
シャンクスの“左腕”をその裡に抱いている――



「あー、でも面白そうな仲間もいっぱいできたみたいだし、
俺のことなんて忘れちまってるかなぁ」


「あんたを忘れるヤツなんていない」
即座にいらえが返った。きっぱりと否定し断定する。


「……」
「そっか」
「そうだ」



周りの沈黙に気がついてない風に、力強く断言する副船長に、
シャンクスは少しばかり感動していた。
『こいつが、人前でンな風に言うなんてなぁ』

いっつも、これを言ったらどう思われるかなんてことばかり考えてばかりいたような気がするのにな。

いつのまにか、彼が攫ってきた男は、自分の言葉というものを獲得していたと見える。
いつからそうだったのか――てんで気づかなかったところがシャンクスだったが。



背景にされてしまった面々――幹部一同も感動していた。


  言うようになったもんだなぁ。副船長。
  あの、朴念仁がよぉ。
  恋は馬鹿力ってか。


  どうする?どっか行ってやるか?
  今更動けるかよ。
  寝たふりしてりゃいいだろ。
  後は勝手にするさ。


  そっか。
  さっさと抱き合っちまえばいいのに。二人とも。
  バカ。抱き合う必要ないだろうが。あそこまでベタベタしてりゃ。
  そっか…
  寝よ、寝るに限る。
  そうそう、三十六計寝るにしかずだ。



月が見ている。

幹部達も皆寝て(寝たふりして)しまって
いつになく無口な海賊二人を
赭い月だけが見ていた。









2004.3.1





☆ 新エンディングにほんのちょっぴりですが、赤髪海賊団御一同登場!
不意打ちだったので先週は慌てふためいちゃったけど、今週はじっくり拝顔♪ 素直に感動。
しかし、○A、何か狙ってるのでしょうか。3月の映画のために?
それとも、エサをばらまいてくれてるのでしょうか、腐女子のために(^_^;)
しかし…ホントに短い文章… 芸がないなぁ。
反省しますm(__)m



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