はっきり言ってエロです。多分……度量の広い方のみお進みください。



   南のCrisantemo 2  
      






菊の花の形を模したそれは、いわゆる着せ綿だ。
ここよりもう少し北、イースト・ブルーの習俗だ。



九月八日の夜に、菊の花に綿をかぶせて一晩おく。
そうすると、翌朝には、その綿は露を含んでしっとりと濡れる。
菊におりる露と香りを移したその綿で肌をぬぐうと、
老を棄てることができるのだという。

存在自体はベンも知っていたが、繭からとった真綿で作られ、
赤は茜、黄は刈安で染められているなどという品には
さすがに初めてお目にかかる。多分大陸で仕立てられた物だ。
ミンから進貢船が帰ったところだと言っていた。その船が持ち帰ったのだろう。


「きれーだよな。これ」

触り心地いいし。
これで体拭くと、老いが拭えるんだって。
乾いたら瓶の水を使えって。菊の露だって。
ぱふぱふと唇や頬に当てて、シャンクスは遊んでいる。

「あんたに、棄てなきゃならん老いなんてないだろうが?」

「うーん。確かにそんなもん棄てなくてもいいんだけどさ」

……あのさ。
ひょいっとベンの耳元に口を寄せ、囁く。

あのな、あそこんこと、この花の名前で呼ぶんだと。
「なあ、俺のもこんな感じ?」

脱力する以外、どうしろと……

「アンタ……すごく下品だ」

「なんだよっ、ちゃんと小さい声で言っただろっ」

声が小さければいいというものではない。
単語として知っていることと、身近な人間の口から聞かされるのとでは衝撃度が違う。
ベックマンは、まだまだ修行が足りぬと実感した。
もしかして――シャンクスとつきあっていると、
とてつもなく面の皮が厚くなっていくのではないだろうか。
いや、もしかしなくても、きっとそうだ。確実にそうだ。

衝撃の単語を発してくださったお方は、恨みがましくベンを見上げている。
「拭いてくれねぇの」オーラ全開だ。


「……その前に顔を拭け。手足もだ」

自分でさせるのはとうに諦めた。
……根負けする質の人間に、シャンクスをしつける、などいう芸当はムリだ。
ベンは水差しの水でタオルを濡らし、シャンクスの顔や手足を拭う。
いささか荒っぽいものになったのは、仕方あるまい。


手に取ってしまえば、着せ綿のほんのりとした湿り気は心地よかった。
荒くれ仕事でささくれだった自分の手では繊維を痛めそうだ。
ガラス瓶から水を垂らし、掌に塗り込む。

「それ、菊に降りた露を集めた水なんだって」
「……そうか」
花びらに降りる露の量など知れている。
それを瓶いっぱいに集めるのは、とてつもない手間だ。
あの粋人を自称する王ならではの酔狂というやつだ。

まず顎。
うっとりと目を閉じているシャンクスの顎に宛い、
続けて喉元に。
隆起する喉から肩に向かって。
ついで腋下へ。
するりと滑る綿の微細な凹凸にシャンクスの肌が震える。
腰骨から後ろへ。
滑り込むとシャンクスの足が開く。
張りつめた筋肉が揺れる。
着せ綿の下で蠢く指はいっかな奥へは入らず外のみを這う。
無防備に晒された恥骨へ。
そこだけは、痛むほどに押しつける。
過敏になった体は震えて、いっそうベンに向けて開かれる。

「ベン」
辛うじて聞き取れるのは、それだけ。

喘ぎ。
吐き出される。
吐息。
零れる。

ベンの腰に巻き付いてくる両の足。
背に当たる脹ら脛は、左が少し太い。
踵がベンの腰を叩き、その指を欲しがる。


宛う。
拭う。

垂らす。
塗り込める。


宛う。
拭う。

垂らす。
塗り込める。

単調な繰り返しに高められ、シャンクスの肌が染まる。
どんな花よりも深い色に。どんな花よりも誘う色に。

「ぁ…ベン…」
それは、既に言葉でさえない。
潤んだ目は剥き出しの欲を隠さない。
全身でもって、早く来いと誘う。

ベンの指先に押しつけられ、奥へと誘い込もうとしているそこは従順で、
抵抗の意志すら見せない。
いや、ベンこそが喰らいつくされようとしているのか。
開かれたそこは、ベンを誘って止まない。
菊などに換えられるものではない。
否、どんな希少種であれ、これ以上の花は無い。

ベンは恭しく、甘露のように溢れる蜜を受け止めた。
揺れる二つの珠を伝い零れ落ちるそれは、どんな花の蜜にも勝る。


ベンだけのために咲くのではない花――
けれど、この色を見せるのは、ベンだけにだ。
……それだけでいい。









2003.10.2





☆ なーにーもー言うことはありません〜



この壁紙は Sirius Cat様からいただきました。。 

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