| Teddy 4 |
「いいのか?」 「なにが?」 「あの男、世界征服とやらをやらかす気なんだろ」 「らしーな、 ンなもの征服して何が嬉しいんだか、気が知れないよなー」 「世界なんて、 征服して自分のもんになっちまったら、おもしろくねぇじゃん。 見て回った方がずっと良いのにな」 おもしろいとかおもしろくないとかいう問題であらうか、世界征服というのは…… 「ほっといても?」 「させとけよ。 アッチの世界のこった。アッチの世界の人間がなんとかするさ。 テディもいるしな。何とかなるさ」 「世界征服しよーなんてアホたれには誰か付いててやらなきゃな」 「…世界を見ていきたいというアホたれの傍には?」 「そりゃ、おまえがいるのさ」 けろりとして言ってのける――シャンクスの髪にベンは両の手の指を差し込んだ。 「…そうだな」 そのまま両の耳を引っ張る。 「いでえー、副ちゃんー」 あにすんだよっ と涙目で訴えるシャンクスの姿がたった今退散してくれたクマにダブる。 俺は――俺は、あの変人と同レベルなのか…… 思わずこめかみを押さえるベックマンの気持ちも知らず、シャンクスは喚き立てる。 何とか言えよーー 「…言ってやるよ」 地の底を這うような声、というのは、このようなものであらうか。 喚いていたシャンクスがびくっと黙った。 「敵味方以前に、毒性の有無も肉食なのか否かの食性も確かめず、 得体の知れないモノを船に乗せたな」 「だ、だって、何もなかったじゃないか」 「今回はな。幸運なことにな」 「だが、幸運てぇのは続かないから幸運と呼ぶんだぜ。 あんたにゃ理解不能かもしれんがな」 あんだよー、それーー ぶーぶーと喚きだしたシャンクスに、冷たい追い打ちがかかる。 「あんたにゃ悪運という名の幸運が付いてるかもしれんが、 他の船員はそうはいかん。俺も含めてな」 シャンクスがぴたっと固まる。 …やべぇ、こいつ、ハブにされると一番根に持つヤツだったんだ。 「副船長である俺が何も知らずに船や船員を危険にさらすなんざぁご免だ」 もちろん、あんたもだ、と付け加えてくれたが、 そんなフォロー、嬉しくない。というか、欲しくない。 シャンクスはそろそろと後ずさりする。 が、船というのは、有限の世界だったりする。 ほんの数歩下がった時点で、舷側の壁にぶつかる。もう下がりようがない。 誰か取りなしやがれ… シャンクスは慌ただしく周りを見回すしたが、 この手の事態に慣れている面々はきれいさっぱり雲隠れしてしまっている。 猫の子一匹いやしない……いや、いた。 しっぽをぴんと立てて、しゃなりしゃなりと甲板を歩んでくる黒猫が。 「よ、よう、カッツェ。久しぶりだなぁ」 カッツェはちろりとシャンクスを見、 「そうね。かれこれ半月ぶりかしら」と言わんばかりの一瞥をくれる。 この場を取りなす気など微塵もないらしい。 ご丁寧に副船長はだめ押ししてくれる。 「すまんな、カッツェ。席を外してくれるか」 この船長殿にとっぷりと言い聞かせることがあるんでな。 聞き分けよく、くるりと背を向けてしまったカッツェの背中に、シャンクスは喚く。 「てめえー、こんな時ばっか副の言うこと聞くんじゃねぇ」 ――耳を貸す者は誰もいない。 |
||
3へ← 完 |
||
| 2003.4.19 |
| えっと〜2002年の後半、ネットを騒がせたウィルスがモトです。 あの「JDBGMGR.EXE」ですね。 こんな説明文を読んだ方もいらっしゃるのでは?
そのすぐ後読んだ『コンピュータのきもち』(山形浩生著・発行)が いい具合に調味してくれまして。 もしかしたら『笑う大天使』(川原泉著・白泉社花ゆめコミックス)もブレンドされてるかも。 でも、あくまで創作ですから。 どっかで聞いたような名前や社名が出てきても、それは偶然ですっ(きっぱり!) |
|
| 使わせていただいた「テディベア」の歌詞は、 英語・日本語とも、こちらのサイトからお借りしました。 『フルハウス』というテレビドラマのファンサイト様です。 『We got it Dude! FULL HOUSE』様 http://www.joy.hi-ho.ne.jp/fullhouse/ http://www.bf.wakwak.com/~jesse/sound/sounddownload.html |