| Harmony Night |
大きな掌が、頬を包み、そっと首筋へと下りていく。 最初の儀式にも似たこの動きが、シャンクスは好きだった。 この掌の感触も、覚えてしまった。 決して美しくはない、新旧とりどりの傷と肉刺とに彩られた掌だ。 だが、骨組みのしっかりした長い指には肉がきちんと付き、 適度な弾力がある。 この掌がシャンクスをしっかりと掴み、蹂躙し――― けれどシャンクスに縋る掌でもある。 縋り 縋られ 掴み 掴まれ そのバランスの心地よさに、シャンクスは陶然とする。 ―――十年かかった。 ここまで来るのに。 その間、シャンクスが利き腕を落とすという思わぬアクシデントもあったが、 とにもかくにも、彼はここにいる。 ――逃がしゃしないけどな。 ほくそ笑む。 お前は俺のもんだ。 イースト・ブルーの 海のほとりの王国で出会ったときから 亡国の炎の中 共に駆け抜けた夜から ベン・ベックマン――― 俺の、たった一人の…… シャンクスが気を散らしたのを責めるかのように指先の圧が強くなる。 「…っ」 とがった鎖骨の先に鋭く細く与えられた痛みに、シャンクスが呻くと、 その指の重みはすっと退いた。柔らかい掌が帰ってくる。 その掌はそろそろと移動し、胸元の突起にたどりつくと、一旦停止する。 それはもう、律儀なくらい決まっていて、 おかげで肩辺りに触れられると、一気に体が熱くなるほどだ。 熱くなった体は、鎖骨周辺への刺激で更に煽られる。 ゆっくりと胸元の突起に触れられて、 そこは、ひどく敏感になっていた。 触れられる以前に、すでに立ち上がっていたそれは尖り、はち切れんばかりに膨らんでいる。 「痛えっ」 触れられたとたん眉をひそめ体を堅くしたシャンクスに、ベックマンは動きを止める。 「どうした?」 「なんか…今の…」 シャンクス自身、イマイチ自分の反応が飲み込めてなかったりする。 しきりに首を振りながら、自分で自分の胸の突起に触れてみる。 ベンに見られているのだという事実は、シャンクスの脳裏からは失せているらしい。 「ん、んーー」 やはり違う。 痛いとは感じるものの、先刻の感覚は痛いだけではないような…… 「お前、すぐ離すしちまうから。もう一度やってみ」 ゆっくりな――言いながら胸を突き出す。 コクリという音と共に、ベックマンの喉が大きく鳴る。 さっきと同じでいいんだな――その声の据わっていることに、 シャンクスは気づいちゃいない。 「ああ、そんでいいぞ」 さっさと目を閉じて自分の体の中を探る。 もう一度胸に持っていこうとした手は宙で止められる。 「さっきと同じにするんだろ」 低い声とともに先刻と全く同じ動きが再会される。 ゆるゆると寄せられる掌――掌全体を使って、 鎖骨から胸を撫でさすり、胸元でいきなり離れる。 一瞬の空白に息を付く間もなく、左胸の飾りが暑い口中に含まれる。 一瞬で足が跳ねた。シーツの上で脱力していた両の足がすべての筋肉を目覚めさせて、 きれいなカーブを描いた。その真ん中にベックマンを挟み込んで。 痙攣に似た動きは、ベックマンが口中から尖りを出し、 宥めるようにシャンクスを撫でさすっている間も止まらなかった。 「なんだよぉ、今のぉ」 「…快感ってヤツだろうな」 「ウソだ。こんなん…」 常になく途方に暮れたように訴えるシャンクスは奇妙に幼く、 ベックマンは幼児虐待の気分を味わった。 「何でだよー、今までこんなん無かったのに」 座り込んでしまったシャンクスはためつすがめつ己の意志を無視した足をさすっている。 よっぽど不本意だったらしい。 「一度も?」 「一度も!」 「誰とも?」 「誰とも!」 「……」 一部不愉快な部分を含んでいたが、それは聞いた己が悪い。 ベンは気を取り直して、シャンクスを押し倒した。 「なにしやがんだー」 「重畳。あんたのソコを見つけたのは俺なわけだな」 「おいっ」 焦りまくったシャンクスの抵抗は、あっさりと破られた。 熱くすらある口が騒々しい口を塞ぐ。 |
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サウス・ブルーの夜は深く、 苦労人揃いの赤髪海賊団の面々は “二人の時”を邪魔するほど無粋ではなかった。 |
| 2002.9.25 |
☆ い、いちおう自己規制。ウェブでは、ここまでにいたします〜 |