かかりつけ医の役割

(1)プライマリーケア機能を果たす「かかりつけ医」
・従来かかりつけ医が果してきたものに、学校保健・予防医学(健診)・健康相談・初期治療・紹介による他医療機関との連携などの地域保険医療活動があります。
このうち初期治療を一般にプライマリーケアともうします。
風邪をひいた時や、食あたりや、ちょっとした怪我や、いつもの持病の治療の時は、簡単な薬の投与や、簡単な処置を受ければ済みます。

・職場や地域で健診を受けて、何か異常を指摘されたとします。直ぐに大病院で精密検査が必要なことは、頻度はそれほど多くはありません。通常は、検尿の再検査や経過観察で良い場合など、あるいは昨年の検査データと比較してもらい、どうするか相談すれば済むことが多いものです。

・このような対症医療や基本的な検査だけで、こと足りることがほとんどです。単なる風邪で、ガンや特殊な病気の検査まで受けると莫大な医療費がかかり、ひいてはあなたの健康保険税アップにつながります。
このようにプライマリーケアというのは、初期的な医療の事です。すなわち、<家庭医><かかりつけ>の役割に他なりません。

 

(2)基幹病院や専門医との連携
・従来かかりつけ医が果してきた機能のうち、<紹介による他医療機関との連携>は最も大切な機能の一つです。病病(病院と病院)連携・病診(病院と診療所)連携・診診(診療所と診療所)連携などの地域保健医療活動があります。

・最近の患者さんは大病院志向が強いと言われています。風邪をひいても大学病院に行かなければ気が済まない方がいます。以前は、どの医療機関でも費用は同じでしたが、最近では病院の果たす機能によって、料金が異なる傾向が段々強くなってきています。従って、いつも大病院にかかるのは、費用や時間などで大変無駄が多いということは既に申し上げた通りです。

・あなたの病気について、一番適切な効率のよい診断や治療を受けるためには、日頃のあなたの状態をよく理解できている<かかりつけ医>の判断で、病院や専門医を紹介してもらうことをお勧めします。
そして、専門医からの紹介状の返事を保管してもらい、急な変化にも適切に対応してもらう準備を、日頃からしておくことが肝要です。

・病気によっては専門医に当分通う必要があることもしばしばあります。その時にあなたの専門医を、その病気についての<主治医>と呼びますが、ほとんどの場合<かかりつけ医>は専門医や主治医とは別に必要であることになります。

・<かかりつけ医>と専門医との連携を通じて、紹介状・電話・ファックスなどを通した「セカンドオピニオン交流」を行うこともできます。
セカンドオピニオンというのは、現在の自分の病気や健康状態について、別の医療機関を紹介してもらい、納得しておくというものですが、乱用すると却って混乱することがあるので、かかりつけ医と良く相談することが大切です。

 

(3)介護保険と連動させる<かかりつけ医>機能
・介護保険では<かかりつけ医>の意見書がなければ、保健審査をうけることができません。

・ほとんどの方は、寝た切りで介護を受けるようになるのなら、<死んだ方がましだ>と日頃から考えているようですが、実際はそうはまいりません。ある時期から介護が必要になると覚悟しておくべきでしょう。この状態は原則として医療も必要ですが、介護の程度によって支給される保険料やサービスの中身が異なってくるので、介護認定の審査を受けねばなりません。この時に<かかりつけ医>の意見書を出さねば審査が受けられません。

・介護保険の認定をうけるには<かかりつけ医の意見書>が必須であることから、<かかりつけ医>機能に新たな地域的ニードが発生しました。これは以前から現場医師が果たしてきた機能と関連することが多いのですが、できるだけ多くの住民があらかじめ<かかりつけ医>を指定しておくことが、保険審査をスムーズに進めるにあたって必要となるでしょう。日頃から、身近な<かかりつけ医>を決めておきましょう。

 

(4)<主治医>と<かかりつけ医>の違い
先述したように<主治医>と<かかりつけ医>は少し意味が異なります。
<主治医>というのは、その人が現在治療を受けている病気の受け持ち医のことです。たとえば白内障の手術を受けるときには眼科の先生が主治医になります。骨折をして入院したときには、整形外科の先生が主治医になります。胃潰瘍になれば内科か外科の先生が主治医になります。つまり特定の病気の<受け持ち医>のことです。
それに対して<かかりつけ医>というのは、その人の時系列(現在だけでなく以前からの長い間)の病状を把握してくれている医師のことです。つまり、いつどのような病気をし、現在どこでどのような治療を受けているか、あるいは、この前受けた職場健診の結果コレステロールが高いといわれ要注意の判定をうけているとか、家庭が忙しくてちょっとした病気で入院すると家業や家庭が崩壊するとか、単に病気だけでなく、その人の事を幅広く理解してくれて、適切なアドバイスをできる立場にある医師の事です。
このような機能を果してくれる医師であれば、病院の医師であれ、診療所の医師であれ、専門医であれ、主治医であれ、どなたでも良いということになります。あなた自身が決める問題なのです。